別に僕は何でもな医師。

中堅内科医の独り言

救急車たらい回し

 

今回は愚痴がメイン。

 

救急車のたらい回しがたびたび話題になるが、私も何度もたらい回しに遭遇している。

 

私は当直バイトで2次救急の対応を月に何度かやっている。

2箇所の病院で行っているが、1箇所に関しては提供できる医療は1.5次レベルだと思う。

 

その中で感じることは救急車を断る病院の多さである。

かかりつけであっても、「まずはそっちで診てもらって」「立て込んでて診れない」といった理由で断られる。

 

確かに重症度に応じて1〜3次に振り分けられなければ、医療は成り立たない。

 

しかし1.5〜2次救急に来院した上で、3次に転院を依頼しても渋られることの多いのなんの。

 

また、かかりつけなのに診てくれないケースにおいては、診療情報や治療経過を改めて確認する手間も増える。

 

コロナが蔓延していた頃には更に酷かった。コロナ禍の初期には内は発熱患者みれないので、というあり得ない理由で断る病院がめちゃくちゃ多かった。

コロナが流行っていても、それ以外の発熱しうる疾患が特別に減るわけではない。

 

救急隊も断られるケースが多いためなのか、トリアージを低めに見積もっていることもある。来院してからパッと見で重症度が高い場合は、すぐに転院搬送できるようにそのまま救急隊に残ってもらう。

 

こんな中でも減らないのがアルコールによるトラブル。

クリスマスも近く、忘年会シーズンであり、急性アルコール中毒で搬送されてくる患者も多い。先日は3人の急性アルコール中毒患者がベッドに横になって点滴を受けている、そんな状況であった。

嘔吐を繰り返し、意識が朦朧としている同僚を目にすると心配になるのであろう。

 

話は少し変わるが、コロナ禍あたりから特に、救急車の使用について「不要不急」であれば控えるようにと叫ばれている。

アルコール中毒患者においてはもちろん急がねばならないケースも多々あるが、自身で招いてしまった状況にも関わらず救急車を無償で利用できるのは正直なんだかなぁと思ってしまう。

タクシー代わりに使っているような高齢者もちらほら見られる。ストレッチャーから軽々降りて、普通に診察して普通に帰宅する。

 

より重篤な患者のもとに救急車の到着が遅れてしまう可能性もあるのに、すべて一律無償で提供している。

 

有料化についてはどうだろう。

重篤な患者さんが有料だからという理由で救急車を呼ぶことを躊躇してしまっては本末転倒だ。

診断後の重症度などに応じて返金されるようなシステムが今後生まれてくるのだろうか。

 

来週末の当直を控えて、再びアルコール中毒ラッシュが来るのではないかと戦々恐々としている。