別に僕は何でもな医師。

中堅内科医の独り言

透析とは

 

腎不全が末期になると透析が必要になる。

 

腎臓とは体の中で何をしているのだろうか?

 

腎臓の機能

腎臓の機能として、

①尿を作る。

②血液を作る。

③骨を作る。

 

①はもちろん有名だと思うが、②、③も体にとって必須の機能である。

 

①尿を作る

尿として体の水分のバランス、カリウムなどのミネラルのバランスを保ち、体にとって不要な毒素を排泄する。

腎不全が進行してくるとこれらが破綻してしまうことで体が浮腫む、高カリウム血症、尿毒症といった症状が出現する。

 

②血液を作る

腎臓からエリスロポエチンといわれる造血のために必要なホルモンが産生される。

腎不全になるとエリスロポエチンが低下してしまい腎性貧血としてHbが低下してくる。

かつては輸血以外に対処法がなかったが、今ではエリスロポエチン製剤を外来でも皮下注射で補うことができる。

 

③骨を作る

腎臓はカルシウムやリンといったミネラルのバランスも調整している。

ビタミンDを体内で活性化する作用もあり、こちらも腎不全に伴い低下してくる。

透析患者さんは骨粗鬆症になるリスクが健常人の何倍も高い。

 

 

これらを24時間365日に渡って、休まずに行っているのが腎臓である。

腎不全が進行してくるとこれらの機能が低下してくる。

末期にならなければなかなか症状が出にくいが、採血でのeGFRが一桁に差し迫ってくると透析が視野に入る。もちろん症状が出現するかどうかは併存疾患などにも左右され個人差も大きいので一概にeGFRのみでは語れない。

 

よくある透析を始める症状や検査結果としては、

・浮腫みにより体重がどんどん増え、利尿薬が効かなくなってきた。

・皮膚の痒み、食欲低下、気持ち悪い、といった尿毒症が疑われる症状。

カリウムカリウム低下薬でもコントロールがつかない。

などなど。

 

透析を簡単に説明すると、

血管に2か所針を刺す。1か所から血液を体の外に取り出して機械を通して毒素や余計な水分を取り除いた上で、もう1か所から血管内に戻す。

 

これを週3回(月水金or火木土)、1回4時間というスケジュールで行う。

この頻度、時間で透析を行っても健常の腎機能の数%しか代わりにならないため、食事制限や水分制限が必要になる。

 

シャントとは?

通常採血をしたり、点滴をする血管ではたくさんの血液を取り出すことができない。

そのため動脈(血液がたくさん流れている血管)と静脈をつなぎ合わせることで太く発達したシャントといわれる血管を作る必要がある。

シャントは1時間前後の局所麻酔で行う手術であり、施設によっては日帰りで行うところもある。

透析に使えるようになるにはある程度シャントが太くなる必要があり、術後1-2週間は最低でも待つことが多い。

 

 

血液透析以外に腹膜透析や腎移植といった腎代替療法の選択肢があるので、透析の話が出てきた際には主治医にそれぞれのメリットデメリットを聞いていただければと思います。