別に僕は何でもな医師。

中堅内科医の独り言

ダイエットはこれだけ

 

という胡散臭さ満点のタイトルで始めてみます。

 

世の中は様々なダイエットで溢れている。

 

糖質制限、脂質制限、レコーディングダイエット、朝バナナダイエット酵素ダイエット...

近年ではGLP-1ダイエットが流行りはじめ、その消化器症状や膵炎といった重篤な副作用についても警鐘が鳴らされつつある。

 

美容とダイエットについては時代が変わってもいつでも求められるものであろう。

インターネットの怪しげな広告もたくさんある。

芸能人や元スポーツ選手が広告塔となって「○○だけで一発で痩せるよ」みたいな決まり文句で誘ってくる。

 

私自身、かつては90kg overの肥満体であったが、20kg以上減量することができ、現在は筋トレに励みつつシックスパックを目指している。

 

私論であるが、「ダイエットは近道なし、王道を行くのが結局近道」である。

つまりは運動と食事管理、これのみ。

 

運動を習慣化するのは結構大変だ。働きながらジムに通ったり、ランニングやウォーキングしたりというのはしんどいものがある。

食事制限もしんどい。お腹が鳴ると何か口にしたい欲求を我慢しなければならない。習慣的に間食をしてしまっている人であれば、それをやめるのもつらいだろう。

 

私が痩せた期間は5-6年とかなりゆっくりしたペースであるので、短期間で劇的に痩せたい!という人には不向きな方法だと思う。

しかし、何年もかけて熟成された肥満を数か月で何とかしようというのも虫がいい話だ。ダイエットとは運動と食事の習慣である。習慣を変えるにはそれなりの期間と忍耐力を要する。楽に痩せる方法に走りたくなる気持ちもわかるが、生涯続けられる習慣を身に着けるほうが大切だと思う。

 

それでは、どのように痩せてきたかをお伝えしていく。

①運動

運動を習慣化するためにいきなり高いハードルを設けるのは愚策だ。

毎日ランニング!毎日ジムに通う!

これでは3日坊主になってしまうことが多いし、行かなくなったときに「あーまたダメだった」と自己嫌悪に陥る。

Atomic habitという本にて紹介されていた方法であるが、習慣化したい行動を最小単位まで小さくすること、行動を始めるきっかけを作ること、これらが重要だ。

 

例えば、毎日ランニングすることを習慣化したいのであれば、最小単位は何だろう?

10分だけランニングする、というのではまだまだ大きい。

最小単位は「走る格好に着替える」ぐらいだろうか。

では、その行動を始めるためのきっかけは何だろうか。

ここでは「仕事から帰宅して家に着いたら」と設定してみよう。

 

つまり、「家に到着した」というきっかけを始点に、すぐに「ランニングウェアに着替える」という行動に移す。そのためには玄関先にランニングウェアやシューズを準備しておくのが良いだろう。

そしてランニングウェアに着替えたら、これでOK。

もちろん着替えただけで痩せはしない。ただし、最小単位の目標を達成することはできる。達成感が習慣につながる。

この習慣を数日行い、苦ではなくなってきたところで、次のステップに移る。

もちろんせっかく着替えたんだから、そのまま走りに行きたい!と思う方は走りにいってもよい。しかし、そこでへとへとになるまでランニングしてくるのは逆に良くない。

走るとしても数分でとどめ、物足りないと思うぐらいで帰宅すべきである。

疲労感と十分走ったという満足感は、習慣化にとっては害になりうる。

 

「帰宅後、すぐに着替える」の次にステップは「外に出る」だ。

別に走らなくてもちょっと外に出て数分歩いてすぐ戻る。

「もうちょっと体動かしたい」というムズムズした感情が生まれてくるのが大事である。その感情を習慣化に活かすのだ。

ここまでくれば、あとは運動の強度を徐々に上げていくことで最終的にはランニングを習慣化することができるはずだ。

 

運動が苦手、という人には別の方法を提案する。

NEAT (non-exercise activity thermogenesis)=非運動性熱産生を高める方法だ。

つまり敢えて運動するというよりは、日常生活の中での活動量を高めることで消費エネルギーを増やすのだ。

例えば、エレベーターではなくて階段を使う、座りっぱなしの時間を減らす、通勤手段を変える、こういった取り組みも大事だ。

これを習慣化する際にはif then plannnigという方法が有効だ。

if then planningとは、「こういった状況になれば、〇〇する」とあらかじめ決めておく方法である。例えば、「3階以内の移動であれば、階段を利用する」といった具合に。

自分の中でルール設定をしておき、NEATを増やすことも十分ダイエットに繋がる。

 

②食事

続いては食事について。

こちらも王道だが、

消費エネルギー>摂取エネルギー

となれば体重は減少に転じてくるはずである。

もちろん体重が落ち、代謝が落ちることで徐々に消費エネルギーは低下してくることもあるが、ダイエット初期にはそこまで考える必要はない。

 

自分の基礎代謝をまずはネットで検索して計算してみて欲しい。

そして普段食べているもののカロリーを大まかでいいので計算する習慣をつける。

コンビニや外食が中心になっている人のほうが計算はしやすいだろう。

カロリー収支をマイナスで維持できれば自然と痩せてくるはずだ。

 

カロリー制限ができないんだよ!という人は、極端な制限をせずに削れるところから削ってみるのが肝要だ。こちらも「最小単位」で徐々に体を慣らすのだ。

 

いきなり三食を二食にする、というのはつらい。

間食をやめる、というのもつらいかもしれない。

であれば、間食をローカロリーなものに変える、間食のクッキーやチョコレートをひとつ減らす、といった具合に体を騙すようにゆっくりと変化させていく。

私のおすすめの間食はフルーツだ。中でも冷凍のミックスベリーやブドウ。コンビニでもすぐに手に入る。

日本のフルーツは優秀でありかなり糖度が高い。これらの冷凍フルーツはそこまで糖質も高くないし、冷凍することで甘みを感じやすいので満足度が高いのだ。

 

 

これらを習慣化すれば、高度な肥満の方であれば確実にある程度は痩せてくる。

ある程度というのがミソであるが、次回はリバウンドについて書いてみようと思う。